家族ごっこ




「……さっき、1年の奴といただろ?」


「え……?」



気が付けば神菜に向かってそう尋ねていた。




そんなこと訊いてどうするんだよ。

本当の彼氏でもないくせに。


…頭のなかで俺は自分に向かってそう囁いていた。




俺は神菜にとってただの偽物の恋人。

そんなことはわかっているのに、

わかっていたはずだったのに、






…どうして、

俺はこんなにも心をかき乱されているのだろう……