「おはよーございます!!優斗先輩!!」


「おはよ…」




相変わらずのテンションのユリに、思わず苦笑いが零れた。

ふと視線をずらすと、あるものが目に入った。



「ユリ、それって…」


「あ!これですかー?

最新版です!!」



俺が思わず声を掛けると、ユリは小脇に抱えていたそれをバンと見せつけながらそう答えた。


ユリが持っていたそれは、美術室に置いてある画材の通販雑誌だ。



「さっき、幸ちゃん先生に部室に置いといてって渡されたんですー」


そう説明するユリ。


その手にある雑誌を見て、


そういえば

おっさんにいろいろ貸したせいで俺の使う物が随分減ってしまってうることを思い出した…。


良い機会だから通販で買ってしまおう…


そう思ってユリにその雑誌を貸してくれと頼むと、ユリも一緒に見たいと言い出した。



で、断るのもあれだし、

廊下でというのもあれなので、一緒に美術室に行くことにした。





そのせいで、

北野には「浮気すんなよー」と、また茶化された。


それも聞き流しつつ俺はユリと一緒に美術室に向かった。