「38℃の熱は、大丈夫って言わない。

今日は送ってくから」


そう俺が言うと、神菜は申し訳なさそうな顔をして首を横に振った。


「……ひとりで帰れるよ。

優斗は、部活行かなきゃいけないでしょ?」


「そんなこと気にすんな。今更一日くらいサボっても平気だし」


神菜を安心させるように笑ってそう言い返した。




「……どうして?」


神菜が泣きそうな顔で、なにか呟いた…。



「ん?」


「……ううん。

なんでもない。ありがとう」


どうかしたのかと尋ねる前に、神菜はそう言って笑った……。