…気が付くと、そこはおっさんのダンボールハウスの中だった。


横になる俺におっさんが心配そうに声を掛けた



「…優斗ぉ、生きとるかぁ…?」

「…ん」


喉の奥がまだ熱い。

それでもなんとか平気だと返事をすれば、おっさんは安心したように少し笑った。



「随分うなされとったでぇ。怖い夢でも見とったんか?」


いつもの調子で茶化すように言われて、俺もつられて笑った。



「もう大丈夫だから…

おっさん、ありがとな」


「……大丈夫やない奴に限って、"大丈夫"ってよく使うらしいで。知っとったか?」


そんな風に言葉を返される。

これは、遠回しに相談しろと言ってるのだろうか…




「それって、おっさんに相談しても良いっていう意味やろか?」

「下手な関西弁使うな。

今までさんざんあれこれ相談しに来たくせに、今更良いも悪いもあらへんやろ」


そう言われ、それもそうだと納得する。


「ほら、早よ話さんかい」

と、そうぶっきらぼうに言われ、俺はそれまでの自分のことをおっさんに話し出した…


母さんのこと

誰かと付き合うのが怖いこと



…俺の話の全てを、おっさんは真剣に聞いてくれた。