乱樹(らんじゅ)の香り

「何言ってんの。

兵庫くん、彼女いるんだから」

「じゃ、あきらめる?」

「なんでそうなるの?」

「じゃあ決定。何とかしなさい」

「できません」

「何で?」

「玉砕するのは確実だもん。

そんなの悲しい目に合うくらいなら、このままがいい」

慧は大きくため息をつく。

「この子は、何を言うかと思えば。

全く、兵庫ごときにもったいない」

「ごときって言わないで」