乱樹(らんじゅ)の香り

麗はちょっと怒ってカイラを見た。

と、ヒトを見透かすような目がそこにあって、麗はドキリとした。

「そう言ってやりたいとこだけど、何か・・・タカトシも麗ちゃんのこと好きなんじゃないかなって感じがして」

麗には返す言葉が浮かばなかった。

ちょっと嬉しくて、反論したくない。

「でも彼女と別れてないなんて、そこがオレには腑に落ちないんだよな」

「彼女の方がいいんだ」

「・・・そう、かなあ」

カイラは首をかしげる。

そして、ニッと笑って麗を見る。