乱樹(らんじゅ)の香り

そう、かな。

「そうなんだ。

兵庫、なんだ。

で、何で黙ってたのよ」

麗は驚いて慧を見直した。

「だから、彼女がいるから、誰にも言えなかったって」

慧は突然麗の身体をがしっと捕まえた。

驚いている麗を、強くゆすぶる。

「あたしにじゃない!」

「えっ??」

「何で兵庫に黙ってるのかって訊いてるのっ!!」

麗は目を見開いた。

「何言って…だって、誰にも言えないくらいなのに、本人になんて言えるわけないでしょう!?」

「っか~」