乱樹(らんじゅ)の香り

玄関が、マンションのクセにやたら広い。

マンション自体も広いのかもしれない。

麗は驚いた。

けれど、兵庫に手を貸して、廊下の途中にあるドアに向かった。

開いていて、中が見える。

寝室になっていて、ベットからは、体を引きずり降ろした形跡で、蒲団がずれ落ちそうになっている。

「ここ?」

「うん」

カーテンがほとんどしまっていて暗い。

麗は、ベットに兵庫を送り届けると、やっとほっとした。

「ごめん」