玄関の中央に鎮座したパネルに、部屋番号を打ち込んだ。

綺麗なマンション。

インターフォンを鳴らすと、少しして、兵庫の声がした。

「瞬だけど。見舞いだ。開けろ」

オートロックが解除されて、ガラスの扉がスッと左右に開く。

「あ、オレ忘れ物。先行ってて」

瞬は回れ右をして、行ってしまう。

でも、瞬って、いつもこんな感じなのだ。

あまり多く説明してくれない、というか。

麗は仕方なく、瞬に教えられていた階へ行く。

最上階だ。