俺の部屋は、確かに何も変わっていない。


だけど、俺達の関係はもぉ、あの頃とは違うんだ。


そして今日、俺はお前を殺してやると約束した。


そしてお前は、俺の女になったんだ。



“…なぁ、マツ…。
欲しい物を手に入れたら、今度は手放したくなくなったんだ…。
…どーすりゃいいかな?”


ホントにそうだ。


本当にアイツを抱いたら、きっと俺は手放せなくなってしまう。



“じゃあ、手放さなきゃ良いんじゃないんすか?”


そう言ったのは、俺自身なのにな。



怖いに決まってんじゃねぇか…。


不安に決まってんじゃねぇかよ…。


約束された来世なんか、なくたって良いんだ。


今、この時を千里と生きていたいのに。



何で俺達は、上手く行かないんだろう…。


何が悪いのかな。


何をしたら、時計の針を戻せるのかな。


きっと、隼人さんが死んだ時に戻せることが出来たなら、

俺達は苦しまずにすんだのに…。


千里を、苦しめずにすんだのに…。


やっぱ、俺が居なきゃ良かったのにな…。



頭からかぶるシャワーのお湯は熱くて、冷えた体を火照らせた。


熱を帯びたキリストロザリオが、胸元で存在感を示す。


千里の残り香に胸が締め付けられ、ただ唇を噛み締めた。



愛しくて、愛しくて、愛しくて…


ただ俺は、愛してるだけなのに…。


それが千里を、俺達を苦しめることになったんだな。


どうすれば良かったんだろう…。


お前を愛さなきゃ、こんなことにはならなかったのかな…?


でも、どう考えたってそんなの無理だよ…。