粉雪2-sleeping beauty-

「…そんなの…!
律儀に守る必要ねぇだろ?!」


声を荒げる俺に、千里は悲しそうに笑い掛けた。



『…そうなんだ…。
でも、あたしはこんな風にしか生きられないんだ…。』


「―――ッ!」



ずっとそうだった…。


“信じて待て”って言えば、ホントに待ってて…。


いつまでもずっと、“隼人の女”であり続けて…。



「…ごめんな…。」



こんな言葉しか言えなかった…。



「…頼むから…泣けよ…。
もぉ絶対ぇ…あんなこと言わねぇから…!」


『―――ッ!』


唇を噛み締めて俯いた千里の手に、涙が落ちた。


堪えきれなくなったように声を漏らす千里に、ただ胸が締め付けられた。



俺は、こんなになるまで我慢させていたんだ…。


“たった一ヶ月”だと思っていた時間、お前は我慢し続けたんだな…。



気付いたら、抱き締めていた。


だけど、“俺のものになれよ”なんて、言えなかった…。


苦しめ続けた俺なんかが、言っちゃいけない台詞なんだ。



拒絶されるのが怖かった。


でもそれ以上に、お前を離したくなかったんだ…。



愛しすぎて…


…苦しかった…。



俺の腕の中に居るのに、不安なんかひとつも消えなくて…。


だから余計に抱き締めて…。



…多分、それがダメだったんだろうな…。


だからお前は、壊れてしまったんだ―――…