粉雪2-sleeping beauty-

「…じゃあ、あの男が死んでも、お前は何とも思わないのか…?」



…何を聞いてるんだろう…。



『…ちょっと寂しいかな?
嵐は、友達だから…。』


「…じゃあ、俺は…?」



…何を聞いてるんだろう、俺は…。


聞きたくないのに、勝手に流れ出てくる。


声が震えて、耳を塞ぎたいはずなのに、体が動かない。



『…考えたこともないよ…。
マツは、“死なない”って言ったから…。』


「―――ッ!」


『…マツまで…あたしを独りにしないでよ…。
そんな寂しいこと…言わないで…?』


唇を噛み締め、俯くことしか出来なかった。



“あたしと一緒に居たらダメなんだよ”って言いながら、

“あたしを独りにしないでよ”って言って…。



もぉ、グチャグチャで…


俺には、お前の考えてることなんかサッパリわかんなくて…。


どうすれば良いかなんて、もっとわかんなかった…。




「…母親が死んだって…ルミから聞いた…。」


『…そっか。』


諦めたようにミネラルウォーターを持ち上げ、

少しだけ口に含む千里の横顔を見つめた。


足元に置かれていたバッグから煙草とライターを取り出し、

ため息をつきながら火をつける。


言葉を選んでいるような顔に、俺は何も言えなかった。



『…マツの所為じゃないでしょ?
人はみんな、いつかは死ぬんだよ…。
それが、ちょっと早かっただけ…。
あたしの…お母さんだっただけだよ…。』


「―――ッ!」