「……………」
「……………」
無言を続けるあたしとハル。
―――ポンッ…………
ふいに頭に置かれた 温かい手。
反射的に、下げていた顔を上げた。
「…………良かったじゃん?」
目線を少し下に送りながら言うハル。
――――ズキン…………
あ…………!!
この顔は………
ハルが悲しむ時によくする癖。
小さい頃に、あたしが本気で怒って、ハルとしばらく話さない時期があったっけ。
その時に、よくこの顔をしてたのを覚えてる。
つまり顔に出やすいタイプ。
「俺のキスは貴重な物なんだからな!ありがたく思えよ」
もちろん、まだ出会ったばかりの夏生は、ハルの癖なんて知るわけがない。


