「……歌手。」
「え?」
あたしはしっかりとした声で喋った。
「あたし、歌手になりたい。」
歌手って凄いと思う。
唄で人を動かせるんだもん
「……歌手!?お前がか!?」
少し笑いをこめながら聞き返す先生。
「あのなぁ、歌手になりたいんならまず真面目に授業を受けろ!夢を馬鹿にするんじゃない!!常識がなってないのに歌手なんかになれるか!!」
フンッ!と鼻で笑い飛ばされた……。
……めっちゃ嫌味じゃん!!
「……あたしは真面目に勉強してるよ?毎日ね。少しでも多くの事を知って、出来る限り気持ちの表現を歌詞に表せるように。」
何で勝手な事言うのかな~!
…どうしてあたしの夢を踏みにじるようなこと言うのかな~?
「……美咲は本気で歌手目指してるよ?」
少し離れた席から聞こえた聞き慣れた声。
「おー。こいつ音楽得意だもんな。」
今度は少し前から聞こえたクールな声。
「ハル……夏生……!」
いつも一緒の二人は、
あたしと先生の会話を聞いて、顔では笑ってるけど声は凄く怒っているようだった。
(………夏生は流れに合わせて何となくだろうけど)


