出だしの声が出たと同時に、全神経が際立った。
美咲の作る世界観が、
あまりにも、キレイで。
あまりにも、悲しくて。
もう、周りなんて見えなくなってしまう。
何よりも迫力が凄いんだ。
今まで聞いてきた、どんな人よりも違う。
それは美咲だからなのか、一人の人としてなのかは分からない。
けど、胸が熱くなる。
この歌をうたっている美咲の声が、表情が。こんなにも響くとは思わなかった。
…ここまで、涙が出るとは思わなかった。
無意識に出てしまった涙が、ポタポタと机の上に落ちる。
涙と一緒に、戸惑いも出ていった気がした。
モデルをやっていいのかな?、
…そんなの今更なに言ってんだ。
俺が決めた事だ。
美咲と離れる為とはいえ、今この立場までズルズル惹かれてきた。
それは、俺にモデルをやれって意味なんだろ?。
いつの間にかこの場所に座ってた。
それは、いつの間にかこの仕事にのめり込んでいたって事で…。
それだけ、この仕事が大切になっていたって事なんだ


