君に伝えたい






何も言わずに、そのまま背を向けて行ってしまった夏生。



その背中に何度もあやまっていたら、




「51・52・53の人。」


あたしの番号が呼ばれた。



隣の部屋へと移動して、それぞれ椅子に座る。



そこで、目の前にいる審査員を見た。



「え……」



胸が締め付けられる。


とっても悲しくて、


とっても辛い。




「美咲…?」


声がスゴくキレイ。



顔もキレイで、全部がキレイと言い切れる。




「…ハ…ル……」




名前を呼んだら、涙が出てきそうになる。




君が居るのが、嬉しくて。



君に名前を呼ばれたのが、幸せで。









今、君が隣に居なかった事。


それに気付けば逃げ回っていた。




君がいない。




その事実がどうしても嫌だった。



どうして?


どうしてハルを引き止めなかったの?




こんなにも、大好きなのに…。