「ちょっと、離してっ!」





「やだ。」




必需人の力は強い。




あたしが少し抵抗したくらいじゃ、びくともしない。




あたしは抵抗をやめた。




本当は別に嫌じゃないから。




必需人の香りが、あたしに移り始める。




この香りは、あたしの心を穏やかにしてくれる香り。




ずっと前から。