少女のヴァンパイア


その頃グレンは―――……

自分の放った黒いもの―…いや、

グレンにはそれがもう……

自分の闇だとわかっていたかも知れない。

グレンは自分の闇に恐怖を感じた。

そして、

あの声は――…

"やっとわかったのか?
そう…俺はお前のもうひとりの自分だよ。"

――自分のしたいことをしないで、

頑張っているうちにできたもうひとりの……

グレン……

声は、

闇の中に姿を表した。

顔からスタイルまで全てがグレンだった。

だが、

グレンの目が青なら、

目の前にいる自分は、

紫だった。

グレンの髪が金色なら、

もうひとりの自分は、

銀色の髪をしていた。

そのふたつが違うだけだった。