少女のヴァンパイア


「あなた…なにかあったでしょ?」

キルギスはさっきまで笑っていたのに、

突然言い出した。

グレンは顔には出さないものの、

内心ドキッとした。

まるで、

さっきの"声"のことをいわれているみたいだった。

―…この際、言った方がよいのでは?

グレンはそう思い、

キルギスに言おうとしたが、

口を開けた瞬間、

キルギスを呼ぶ、

リーフの声が聞こえた。

「あっ、リーフ……」

キルギスは振り返り、

リーフをみて微笑んだ。

「だめじゃないか、早く帰らないとあの子が待ってる。」

リーフはそう言うと、

キルギスの腰を抱き締めた。

「そうだったわね。
早く帰らないと……」

グレンはそんなふたりに、

頭を下げるとその場を立ち去ろうとした。

だが、

キルギスがグレンの手首を掴んだ。

「なにかあったらいつでも来てね?」