フランとは、
グレンの父―…つまり、ヴァンパイア王国の王のことだった。
「フランはね?
私達の中で一番年下だったでしょ?
だからね、みんなフランが可愛くて仕方がなかったの。
いつもついつい、いじめてしまうのよね。」
そう言って、
キルギスは懐かしいそうに、
過去を思い出していた。
グレンはいつも父の背中を見ていたから、
そんな父は意外だった。
「あれ?驚かないの?」
キルギスが、
口を尖らした。
「いえ。
充分、驚かされてしまいました。」
グレンがそう言うと、
キルギスはジッとグレンを見た。
「……やっぱりあなた…フランに似ているわ。
性格なんか、そっくり。」
キルギスはそう言って、
嬉しそうに微笑んだ。
