"今日はここで、失礼するよ。
よく考えておいてくれ。"

と、同時に部屋の中が静かになった。

グレンはふーっと溜め息をついて、

ベットに寝転がった。

「いったい誰だったんだ?」

―…どうして俺の前に?

しばらく考え込んでいたグレンだが、

頭を軽く左右に振ると、

起き上がった。

そして、

気分を変えるために部屋を出て、

中庭に向かった。

向かっている途中に、

グレンの歩く、

逆の方向から唯一の女のヴァンパイア元帥がきた。

その姿は、

一言で言うと若い。

腰ぐらいまである金色の長いストレートの髪に、

綺麗な緑色の目をしている。

ヴァンパイア元帥は、

5人いたうちの3人しか残っていない。

そして彼女は、

もうひとりのヴァンパイア元帥―…リーフ=ナイトレの妻でもあった。

彼女の名前は、

キルギス=ナイトレ。

いつも優しいと評判だった。