そこでは大臣は、
グレンのことをよく思ってないらしくて、
上辺ではいいように言っておきながら、
影では苛立っているのをグレンは知っていた。
勿論、
言い返すことも出来るのだが、
若いながらもグレンは、
こうすることによって、
立場が悪くなることがわかっていた。
だから、
グレンはなにをいわれても耐えていた。
だが、
限界に近付いた時、
この声が聞こえたのだ。
声はグレンを誘惑する。
"いっそうのこと…壊しちゃえよ。"
「馬鹿なこと言うな。」
グレンは断ったが、
声はクスクスと笑っていた。
「なにがおかしいんだ?」
"あぁ!おかしいさ!!
どうして我慢する?
どうしてなにも言わないんだ?
お前はお前の筈だろ?
今のお前はまるで……操り人形だ。"
―…操り人形……
声はまたクスクスと笑った。
