「こいつは召使のファイだ。
今日からお前の身の回りのことをしてくれる。」
ファイは頭をさげた。
シュリーは一応頭をさげたものの、
何故自分がここにいるのかさえ分からなかった。
「私は…この屋敷で住むのですか?」
そうシュリーが尋ねるとグレンは少し考え込んでいた。
そして少ししてシュリーに視線をむけた。
「帰る家があるのか?」
「帰る家は…どうだっけ?
あったの?」
シュリーは自分が初めてなにも覚えてないことに気付いた。
「覚えてないのか?」
グレンはその言葉が返ってくるのを待ってたようにいった。
シュリーは記憶を探っていた。
確かに自分がシュリーだったのは覚えている。
よく動物たちと一緒に歌っていたのも覚えている。
でも…
どこで歌ってたの?
家はあるの?
家族は?
私はいったいだれなの?
何故ここにいるの?
何故なにも覚えてないの?
名前は分かるのにどうして他のことは分からないの?
なんで―…なにも思いだせないの?
いろんなことを考え過ぎて疲れてしまったシュリーは意識を手放した。
