少女のヴァンパイア


グレンはそんなシュリーに笑顔をみせた。

シュリーは益々笑顔になり、

ファイは無表情を崩し、

驚いた顔をした。

―…あのグレン様が笑顔をみせている。
これは…シュリー様のお陰なのか?

唯一、

表情が変わっていないのが、

ラントだった。

グレンはラントに背を向けているため、

ラントから見えるのはシュリーの笑顔だった。

―…なんで、この女はグレン様に気に入られるんだ?
なんで……?

そんなラントの様子を知らないシュリーは、

街のことを思い出し、

気を落とした。

「ごめんなさい。
私…せっかく街に連れて行ってもらったのに…気を失ってしまって……」

ファイは気を利かせてラントと部屋をでた。

グレンはへこんでいるシュリーの頭を撫でた。