少女のヴァンパイア


シュリーは目が覚めると、

屋敷にいると確認できた。

―…あっ…私…グレン様と街にいったんじゃなかったけ?

「目が覚めましたか?」

シュリーはゆっくりと声のした方をみた。

そこにはファイがいて、

手にはいつもの温かいココアがあった。

「グレン様は?」

口のなかにほんのり温かく、

甘い香りをのこす、

ココアを飲みながら、

シュリーがいった。

「もうすぐ来ますよ。」

ファイがそう言うと、

扉が開き、

グレンが入ってきた。

後ろには、

ラントもいる。

ラントはシュリーにグレンを取られたと思い込んで、

シュリーのことが好きではなかった。

だが、

シュリーはラントのことが嫌いではない。

忠実にグレンを尊敬しているのが、

よく伝わるからだ。

「もう大丈夫なのか?」

シュリーはその問い掛けに、

笑顔で頷いた。