「あの人っていったい誰なんでしょうか。
あのリベルさんとキルギスさんがあんな表情で言うぐらいなのだから、よほどの人なのでしょうか?」
フランがとても小さな声でリーフに呟いた。
リーフはふたりの様子を見ながら
フランに言った。
「ふたりの…父親だよ。」
リーフの瞳はふたりをみつつ、
意識はキルギスにむいているようだった。
「ふたりの父親って…」
フランが目をまるくして、
リーフを見た。
リーフはフランを見て
悲しそうに微笑んだ。
「そうですか…」
フランはまだ聞きたいことがあったものの、
それを言おうとしなかった。
フランはリベルと同じように、
ふたりを見た。
リベルは下を向いて表情は見えないが、
拳を握り締めて
そこから赤い血が流れていた。
「リベル…」
イオラが悲しそうにリベルを見る。
しかしリベルはイオラを見ようとしなかった。
ただ悔しそうに床を見つめていた。
イオラはそんなリベルを見て、
キルギスを見た。
キルギスも顔を手で覆い、
下を向いていた。
