フランもリーフも普段みないキルギスの姿に

唖然としている。

リベルは下をむいたまま、

拳を握り締め

下唇をかんでいた。

「ごめん」

しばらくしたのち

リベルが小さく呟いた。

それが聞こえたキルギスは

またリベルのほうを向く。

「それはなんの『ごめん』なの?
人間に恋したから?
約束を守れなかったから?
…あの人と同じことをしているから?」

キルギスが最後の言葉を聞いたリベルは

キルギスに顔を向ける。

「違う!!
僕は…あいつなんかにならない!」

リベルもまた誰も聞いたことのない声で言った。

イオラでさえ、

リベルが声を荒げる姿を初めて見たように

驚きを隠せないでいた。

「なにが違うの!?
人間に手を出してこの世界から追放されたあの人と同じじゃない!!」

とうとうキルギスは泣き崩れてしまった。

リベルはまた唇を噛み締めていた。

そして4人の中に沈黙が続いた。

だれもなにも言わない微妙な空間

キルギスは静かに涙を流していた。