「私の兄…リベルは十年以上前に、死んでいたの。」

キルギスの瞳から涙が流れる。

いつもにこにこと笑っているキルギスからは、

考えられないことだった。

どんなにつらいときでも、

いつも笑ってた。

城の者も、

そしてなにより、

グレンが一番驚いたことは、

十年以上前に、

もう死んでいたことだった。

元帥のひとりとなれば、

国民に必ず伝えられる。

十年間もの間、

おいとくわけにはいけない。

そんなことができるのは、

国王だけだった。

この十年間国民に知らせていないとなると、

この話には、

フランも関わっていることになる。

キルギスは、

真剣な眼差しをグレンにみせる。