少女のヴァンパイア


シュリーは突然『駄目』を繰り返した。

出ていこうとしていたファイは、

シュリーのもとへ戻る。

シュリーは苦しそうに顔を歪める。

ファイは起したほうがいいか迷っていた。

「バ…バーナード…」

ファイは思わず顔をしかめた。

シュリーの言うバーナードは、

ヴァンパイア元帥のひとりで、

裏切りものとも言われている。

今は行方不明とされている。

ファイ自身、

ヴァンパイア国王のフラン、

ナイトレ夫妻しかみたことがない。

最も最強と言われたアベルは、

滅多に公共の場には現れず、

今はもうこの世にはいない。

ファイは、

念の為にグレンにテレパシーを送った。

――グレン様

――どうした?

グレンはすぐに返事を返す。

グレンはヴァンパイア国についた時の、

シュリーの声が気になっていた。

――今、大丈夫でしょうか?

この会話はふたりにか聞こえない。