男はシュリーの血の香りを堪能していた。

そして寝ているシュリーをみるとニヤリと微笑んだ。

「さて、そろそろいただこうかな?」

男はそういってシュリーの首筋に顔を埋めた。

―…痛っ!

シュリーは首筋の痛みを感じ、起きた。

目を開けると見られない男がシュリーの上に跨がっていた。

"グレン様…っ!!"

その光景をみていたファイは焦りを感じながらグレンを呼んだ。

「だ…だれ?」

シュリーは震える声で聞いた。

男は飲もうとしたところで、

顔をあげた。

「僕を忘れてしまったのかい?」

それでもシュリーは思いだせなかったが、

体は小刻みに震え、

恐怖を感じとっていた。

「思い出したかい?」

男はそういってシュリーの首筋にまた顔を埋めた。

―…怖い…だれか…

男が血を飲もうとした時だった。

「俺の屋敷で何をしている?」

今までにないぐらいのグレンの冷たい声が聞こえた。

男は顔をあげてグレンをみた。

「これはこれは。
この屋敷の御主人様ですか。
もう少し遅くてもよかったのですが…」

男は悪びれもなく、

ヘラヘラとグレンに挨拶をした。

そしてベットから起き上がると、

右手を胸にあて、軽くお辞儀をした。

「では今日はこれで失礼するよ。
シュリー…また近いうちに会おう。」

男はそういって姿を消した。

男が姿を消した途端ファイは動けるようになった。

でもシュリーの震えは止まらなかった。