そして…そこで……
とシュリーは付け足し、
黙ってしまった。
グレンにはもうここまで言われると、
シュリーがなにを見たのか、
想像がついていた。
グレンは
抱き締められていてシュリーの顔は見えないが、
変わりにシュリーの髪を片手で梳きながら、
空を見上げる。
シュリーはあの時、
あの部屋にいた女の血をグレンが飲んでいたのを、
見てしまっていたのだ。
グレンの屋敷には
ああいう女が時々現われる。
自らヴァンパイアに飲まれることを臨む人間―…
その人間を好むヴァンパイアもいれば、
好まないヴァンパイアもいる。
グレンは後者の方だ。
だが、
あの時のグレンは
血が足りなくて、
仕方なくのんだ。
――あの時の血は、最高に不味く感じたな。
とグレンは、
自分の欲望に負けた自分に腹がたった。
