少女のヴァンパイア


「グレン様?」

グレンは

声が聞こえて目を開ける。

そこには、

マロン色の髪をして、

透き通るような緑色の目をしている、

あの少女がいた。

だが、

その少女はすぐにシュリーだと、

思いなおす。

その証拠に

シュリーからは、

人間の放つ血の甘い香りがする。

シュリーからは

他の人間より格段に美味しそうな香りがする。

「いい年して、寝ぼけるとは…俺もまだまだ、だな。」

とグレンは力なく微笑む。

シュリーは

そんなグレンに首をかしげた。

だが、

グレンがなにもないと分かると、

安心して微笑んだ。

「シュリー…俺を起こしたのは、どうかしたのか?」

とグレンが聞くと、

シュリーは慌てて首を振る。

「ごめんなさい。
起こすつもりはなかったんです。」

シュリーは半泣きになりながら言う。