キルギスは
思ったよりグレンの素直な答えに、
少し驚きながらも、
笑顔になる。
そして、
膝を曲げて、
グレンとの目線を合わせる。
「ねぇ…グレン君。
……人間界に行ってみない?」
「人間界?」
グレンはキルギスの問いに、
首をかしげた。
グレンは、
次期国王として、
フランのもとで勉強をしなくてはいけないから、
まさか、
そんなことを言われるとは、
思ってもいなかった。
キルギスはそんなグレンを見て、
優しく微笑む。
「そう…人間界。
そこでしばらく暮らすの。
大事な仕事がある時は、いつでも戻って来れるようにするわ。
そして、
グレン君が困らないように召使をふたり用意するわ。
…どう?行ってみない?」
人間界……
グレンは少し考えた。
その間にキルギスは、
フランのほうを見る。
「フラン、いいわよね?」
上目遣いで、
フランを見つめる。
