少女のヴァンパイア


フランは

キルギスの提案に勿論驚いた。

リーフは優しい笑顔を浮かべる。

「そう…人間界よ。」


そして、

キルギスはグレンに視線を向けなおす。

「今、私達がいるこの場所からグレン君がいる場所があるでしょ?
それがすごく遠く見えるの。」

そういったキルギスは悲しそうだった。

確かにグレンとの距離は、

数歩、歩いても届かないぐらいの距離があった。

「この距離は、グレン君と私達の心の距離。
だから私達たちは、ここから進めなかったの。」

フランは黙ってグレンを見る。

グレンは、

未だに空を眺めていた。

「ねぇ…フラン。
グレン君を少しの間、自由にさせてあげましょ?
大事な仕事がある時には、また呼べばいいわ。
今のあの子には、ゆっくりさせることが大事だと思うの。」