少女のヴァンパイア


「あの子はね…今は…僕たちの子だよ。」

そういったリーフの顔は、

どこか嬉しそうにも見えて、

悲しそうにも見える。

フランは

いつも笑顔なリーフが、

あいまいな表情を浮かべているのに、

疑問を抱きながらも、

なにも言わなかった。

しばらく沈黙が続くと、

キルギスが近寄ってきた。

「今はなにも言えない私たちを許してね?
リーフもあなたに言えないことに悲しさを抱いているの。」

フランは黙って頷いた。

キルギスはそれを見て、

いつもの笑顔を浮かべる。

そして、

闇が消えて、

少し遠くにいるグレンを、

優しいまなざしで見つめる。

「ねぇ…フラン。」

「なんですか?」

フランがそう言うと、

キルギスはフランのほうを向く。

「グレン君を…人間界に行かしてみては駄目かしら?」

「人間界ですか…?」