少女のヴァンパイア


だが、

グレンは自分の考えを否定するように、

首をふった。

「そんなはずない…奴は…ベルンは…死んだ。」

そう言ってグレンは、

頭を押さえて、

しゃがみ込む。

ベルンはそんな兄を、

とても悲しそうに見つめていた。

そして、

ベルンはグレンに一歩ずつ近よる。

「グレン兄さん…苦しまないで。
僕は確かに死んだよ?
でもね……
僕はいつも兄さんと一緒だ。」

そう言ってベルンは、

優しくグレンを抱き締めた。

「っ……ベルン…」

グレンは弟がいることに、

嬉しくて涙を流す。

「グレン兄さん……っ…」

そしてまた、

ベルンも涙を流す。


そんなふたりを黙ってみていた少女は、

優しく微笑み、

消えかかっている闇に紛れた。

唯一気付いたベルンは、

グレンと抱きあいながら、

「ありがとう。」

と小さく呟いた。