少女のヴァンパイア


少女はその変わりように驚きながらも、

首を左右にふった。

すると、

もうひとりのグレンは、

二カッと笑う。

初めて見せた笑顔だった。

「双子はね…もとはひとつなんだよ。
そのひとつから、ふたりが生まれる。
勿論、なにもかも半分だ。」

もうひとりのグレンはそう言って、

グレンの目の前に立つ。

「僕のこと…覚えてない?」

そういったもうひとりのグレンの目は、

悲しそうだった。

グレンはもうひとりの自分を見つめる。

グレンはわからないと感じたものの、

どこか懐かしいような感覚を覚える。

「グレン兄さん」

もうひとりのグレンが、

悲しそうな目をグレンに向けながら、

グレンの名を呟く。

その瞬間、

グレンは彼の名を思い出した。

「ベルン…?」