少女のヴァンパイア


少女は、

もうひとりのグレンをジッと見つめる。

闇に静寂が訪れる。

「あなたは…本当に闇だけなの?」

グレンには、

少女の言葉が理解出来なかった。

だが、

もうひとりのグレンには、

少女がなにを聞きたいか、

理解出来ていた。

「あなたはいったい…何者なの?」

少女はもう一度、

同じことを聞く。

グレンはなにも言わず、

少女と同じように、

もうひとりのグレンを見つめる。

もうひとりのグレンは、

少し黙った後、

観念したように肩を震わせ、

ククッと笑った。

「なにがおかしいの?」

少女が聞くと、

もうひとりのグレンは少女を見る。

「双子のヴァンパイアの運命って、知ってる?」

そういった声は、

今までと別人のよいに、

無邪気で、

優しい声だった。