少女のヴァンパイア


もうひとりのグレンがそう言うと、

グレンは力強い目で、

瓜ふたつの自分をみる。

「もしそうだとしても、俺の目の前で殺されるのを黙って見過ごす訳には行かない。」

もうひとりのグレンは悔しそうに顔を歪める。

「だが、
こいつの倒せば、お前は自由だ。
なんでも好きなことが出来る。
嫌な奴は排除できる。」

ふたりを黙って見つめる少女は、

もうひとりのグレンが泣いているように見える。

グレンの闇だが、

グレンを愛し、

グレンのことを常に心配している。

今だって……

グレンを守るために、

この闇を生んだ。

グレンの邪魔をするものを排除し、

誰もいないこの空間を作り出した。

少女には、

どうしてそこまでするのか、

分からなかった。