少女のヴァンパイア


「大丈夫だよ。
私は多分強いから。」

「多分って……」

グレンは心の中で溜め息をついた。

少女はグレンを見て、

笑顔を浮かべる。

「大丈夫。私は死なない。」

そういった少女の瞳は、

すごく力強くて、

グレンは頷くしかなかった。

「強い?お前がか?
さっきから面白い冗談を言ってくれる。」

もうひとりのグレンは少女を、

あざ笑うように言う。

少女はそんな彼に、

悲しそうな視線をなげる。

もうひとりのグレンは少女の、

視線が気にくわなかった。

「死ね」

もうひとりのグレンはそう言うと、

このなにもない、

闇の空間から剣を取り出す。

闇から作られた剣。

闇にまじり、

あるのかさへわからない。

そして、

ものすごい速さで、

少女に襲いかかってきた。