少女のヴァンパイア


今までふたりの会話を聞いていたグレンは、

少女に近寄った。

そして、

自分より頭2個分ぐらい小さい少女に、

「こいつ…本気だよ?
このままだと殺される。」

と耳元で呟いた。

少女は笑顔のまま、

グレンのほうを軽々とむいた。

「大丈夫だよ?
だって、私は多分…彼より強いの。」

少女はふふっと笑った。

その言葉にもうひとりのグレンが、

眉を寄せる。

「俺より強いだと?
いい冗談を言ってくれる。」

周りの闇はより一層濃くなる。

少女はチラッともうひとりのグレンを見ると、

またグレンに視線を戻した。

グレンは少女と目が合うと、

「あいつは本気だ。
今のうちに早く逃げろ。」

と少女に告げる。

少女はそんなグレンを見て微笑む。

「なにがおかしい?」

笑われたグレンが、

少し不機嫌になりながら聞く。