少女のヴァンパイア


「この周りの黒いのはあなたの闇…あなたの不安…」

"不安?"

「そう、不安。
"いつ何をされるかわからない。"
"ちゃんとできるかわからない"
そういったものからうまれる不安。」

少女は優しく抱きしめながらいう。

まるで、

幼子をあやす母親のように、

優しく、優しく言う。

「おい。
離せ!なにも話すな!」

体をのっとった方のグレンが、

焦りを感じ、

威厳のある声で、

少女を脅す。

だが、

少女はその声が聞こえてないように、

なにも反応しなかった。

"君は…誰?"

グレンが問い掛けるように聞く。

少女はにっこりと笑う。

「あたしの名前は―…」

少女がなにか言ったが、

グレンには聞こえなかった。

"え?なんて?"

グレンがもう一度聞こうとすると、

少女が遮った。