少女のヴァンパイア


"すべてが俺の自由……?"

「さぁ、俺と一緒にもっとお前を苦しめる者に罰を与えよう。」

"罰を…"

「そう、罰だ。
そうすればみんながお前に対しての過ちに気づき、
自分の愚かさに悔やむだろう。」

"罰……"

この時もうひとりのグレンは思わず口元がニヤけた。

たとえグレンの体をのっとたとしても、

グレンが「嫌、駄目」

といえばできないのだ。

だからグレンの心を誘惑しなければならなかった。

そして、

闇がグレンを支配しかけた時……

「駄目!!」

という声とともに少女がでてきた。

少女はグレンの目の前で止まった。

「だれだ?」

体をのっとたグレンが不機嫌そうにいう。

少女はそんな声を無視し、

グレンに近づいた。

"君は…だれ?"

グレンの声は聞こえないはずだった。

だが、

少女にははっきりと聞こえていた。

少女はグレンににっこりと微笑み、

グレンを優しく、

大切な物を包み込むように抱きしめた。