―この人―


あたしの胸がそう叫んだ。


…あたしを包んだその腕は――


「…待たせただろ…??ごめんな」


…愛しい人のモノでした。


「……今何時??」


やっとの思いで出した声。


「11時」


後ろから聞こえて来る声


「もうそんなにたったんだ」


あたしは振り向けずにいる


それは、


どんな顔していいか分からないから

今どんな顔してるか分からないから