「じゃあ、いいじゃないか。あたしとあんたは自由だよ。」 ただ前だけを見据えて応えた梓さんに、何となく納得した。 あたしは今、自由なんだ。 逃げ出した訳ではない。 それでも捨てたものがあるのは、間違いない。 捨てたものに縛られてしまいそうだった。 白いフレームに手を掛ける。 「サングラスしないの?」 「…今はしない。」 目に映るコントラストが、今のあたしを自由にしてくれた気がした。