「…あーあ、シート汚れちゃってるよ。」 「何だって?菫、ちゃんとビニールシートは敷いたのか?」 「敷いたけど、梓さん運転荒いから。」 今更言っても仕方のない口論を繰り広げ、視線の先に溜め息を漏らした。 がたごとと、それでもフルスピードで山道を登っていく。 「…あ。」 がったんと車体が揺れた。 石にでも乗り上げたのだろう。 後部座席に投げ捨てられていたものの、首がごろんともげ落ちた。