「たまにはね。」 開け放たれた窓から、夏の風が飛び込んでくる。 夏休み直前の首都高は、いつも以上にすいていた。 梓さんには首都高が似合う。 首都高だけでなく、ハイウェイが似合う。 カーステレオからはエンドレスに同じ科白。 "タイムマシーンにお願い タイムマシーンにお願い" 「パーキング寄るよ。」 靡く髪を掻き上げ、梓さんはそう言った。 選曲だけが、やたらと不似合いに感じた。