「あああ……帰りたい…」

「…なんでそんなに沈んでんの?愛菜ちゃん」



美月ちゃんが不思議そうな呆れたようなカオで聞いてくる。

それに笑って答えるほどの元気は、今の私にはない。

うー、と返事がわりに唸ると美月ちゃんはため息まじりに「なんなの…」と呟いた。



「どうせまた桜田絡みなんでしょ」

「んー……んーん」

「どっちなのよっ」

「分かんないよおー…」

「……あ、そ」



もーいいや。

と、そっぽを向いた美月ちゃんの顔はすごくすごく面倒臭そうだった。


…だってちゅうしたなんて言えるわけないじゃないかー!


「はあああ……」

「ああウザいなっもう!!」

「ウザいとか言わないでえ~っ」

「じゃあなにか喋んなさいよ!」

「言えるわけ…ううう~っ」



そしてまたバタン!と机に沈みこんだとき。


ガラッと爽快に教室のドアが開いた。



「おっはよー!」



うわああ…桜田くんだ…っ