シャーペンの先から顔をあげて桜田くんの顔を見る。

だけど桜田くんは顔を上げず俯かせたまま、話し始めた。



「…俺ね。抑えきれねぇくせに臆病なんだよ」

「……?」



話の意味がよく、分からない。

だけどそれでも構わないというように、桜田くんは顔を俯かせたまま苦笑いする。



「だから変な感じになっちゃったりしたんだけどさー…もういいやって思えてきて」

「? …?」

「びびってねぇで、どんどんいってやろうと思って」



なにかにふっきれたように、明るい声で言う桜田くん。

未だに脳内ハテナマークの私と、顔をあげて目を合わせて、にかって音がしそうなくらいに笑って。



「まあそうやって決心させてくれたのも、そいつなんだけど。情けねぇな俺!」



言葉のわりに、眩しい笑顔だった。

そのまま「さて頑張って解くか!頼んだよ白木サン」と明るく言う桜田くんに頬が緩んだ。


結局なんの話だったのかさっぱり分からなかったけど。

桜田くんが笑っているなら

こうして変わらず接してくれるなら

話の意味なんてなんでもいいかな、なんて思えた。