「み、美月ちゃん…?」

「……あっ…え?」

「あの、」

「ごごごめんっ…あたしもしかして……邪魔した?」



美月ちゃんの言葉に。

かあああっと私の顔が熱を帯びていくのが分かった。

ぶんぶんと首を振って美月ちゃんの言葉を否定する。



「ままさか!手当てしてもらってただけだから…っそれより、保健の先生はいた?」

「ならいいんだけど…。見つかんなくてさ、桜田が手当てしてくれたなら良かった」

「手当ての仕方あってるかは自信ねぇけどさ」

「なにそれ、超頼りないじゃん!」



美月ちゃんの笑い声に今までどこか緊迫していた空気が緩んでいくのを感じた。

良かった。

…どこかいつもと違う桜田くんの瞳が…すこし怖かったから。



「じゃああたしたちは体育戻ろっか。愛菜ちゃんいける?」

「ん。大丈夫……えと、桜田くんごめんね。時間使わせちゃって…」

「いいって謝んなくて」



桜田くんが苦笑いでいう。

それに頭を下げて、先に保健室を出ていった美月ちゃんの後を追おうとした時。

「あ」と桜田くんの声が聞こえて、振り返ると目があって。